文化の日

11月3日は文化の日です。博物館や美術館の中には入館料を無料にしたり、様々な催し物を開催したりする所もあり、文化に親しむ日とされています。

みなさんは、「文化」というとどういうものを思い浮かべるでしょうか?

本日、皇居では、文化勲章の授章式が行われます。今年の受章者には、歌舞伎俳優の尾上菊五郎さんや元・読売巨人軍の選手で監督も務めた長嶋茂雄さんらがおり、そのほかには学術の世界で活躍された方々などがいらっしゃいます。昨年は脚本家の橋田寿賀子さんも受章しました。文化というと、こういった伝統芸能やスポーツ、芸術の中にあると感じられる方も多いのかもしれません。しかし、私たち日常の営みこそ「文化」があるのではないかと感じるのです。

大正時代に、柳宗悦(やなぎむねよし)という思想家が、民藝(みんげい)運動を始めました。
当時、工芸品は華美な装飾を施した観賞用の作品が主流で、これらを美術的価値があるものとして評価する風潮がありました。しかし、柳宗悦は、名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具を「民衆的工芸(=民藝)」と名付け、日常生活の中にこそ美があると唱えました。使われるために作られたものの中にこそ、魂が宿っている。人々の生活に根ざした「民藝」には機能的な美しさがある。と、新たな「美の価値観」を提示したのです。

このことからすると、私たちの身近にあり、普段は気づかないけれど、当たり前のように行われていることにも、私たちの思いや感情が込められた「文化」があるのではないでしょうか。たとえば、神仏に手を合わせる。お墓参りをする。先祖を供養する。芸術鑑賞や楽器演奏とは違いますが、これもまた私たちの体に血肉化された「文化」です。

日本に仏教が伝わって1500年、浄土宗が開かれて850年の年月が流れています。その間、仏教は形を変えながら、私達の日々の生活の中に深く根差してきました。

先祖供養もそのひとつと言えます。この連綿と受け継がれてきた、教えと実践を、受け止め、次世代に伝えていく。これもまた文化を継承していくことと言えるでしょう。
年回法要を務めることは、亡き方のご供養になることはもちろんですが、私達、現世にいるものにとっても次世代への文化を伝える重要な意味があると思っています。

一方で、東京をはじめとした首都圏では、コロナ禍により仏事が省略されることが多いと伺います。

目に見えがたい精神文化をどう形に残していくのか、どのような文化を残したいのかが、今問われているように思います。手を合せ、十遍のお念仏を唱える。法然上人以来受け継がれてきたこの文化を、寺院として広く世に伝えていきたいと思います。

南無阿弥陀仏

浄土宗新聞に掲載されました!

富士山の頂に雪が積もり、冬の気配を感じるようになってきました。

先月、浄土宗が月1回発行している『浄土宗新聞』の取材を受けました。
ちょうど出先で電話越しに受けた取材でしたが、ずいぶん大きな記事で扱ってくださいました。記事でご紹介いただいたのは農園部の活動です。

また先日は、『中外日報』という宗教専門紙でもご紹介いただきました。
少しずつですが、農園部の活動が認知され、意外にも評価をいただいているようです。

こうして見てくださる方がいらっしゃると思うとうれしいものですね。
さて、今年のお十夜では、獲れたサツマイモを本尊様にお供えいたしました。来年は、お参りの皆さんにお配りできるぐらいたくさん栽培できたらいいなと思っています。小欲知足とはいうけれど、やっぱり欲が出てくるようです。京都・龍安寺の蹲(つくばい)にある「吾唯知足」という境地に至るには、まだまだ精進が足りませんね(笑)

今後とも応援よろしくお願いします。

令和3年十夜法要厳修

10月14日(木)、当山本堂にて十夜法要を厳修いたしました。
感染者数は減ってるとはいえ、何をきっかけに広がるかわからない新型コロナです。感染症への対応を取りつつ、今回もオンラインを併用しながら無事お勤めすることが出来ました。

当日は本堂内に20名を超える方がお集まりくださり、ご一緒にお念仏をおとなえいたしました。また、法要後は富士市・清岩寺副住職の伊藤友昭上人によるご法話をいただきました。
身近な人を亡くされた体験を語りながら、念仏の功徳についてのお話は、参加者の心を打つものであったと思います。

さて、法源寺は浄土宗に十夜法要をもたらした観譽祐崇上人が開山した寺院ですので、この十夜法要は昔から大切に受け継がれてきたものです。コロナ禍にあっても何とか実施できるよう、この2年、試行錯誤を繰り返してきました。

ご参加くださった檀信徒の皆様、十夜法要の運営をサポートしてくださいました総代、世話人の皆様、改めて御礼申し上げます。

令和3年 十夜法要について【Live配信】

さて、今年もお十夜の季節がやってまいりました。
感染者数は落ち着いてきたとはいえ、まだまだ安心できません。コロナ禍の事情を鑑み、彼岸法要同様、YouTubeでライブ配信させていただきます。上記の画面をクリックしていただければ、YouTubeのページに飛ぶことができます。少しの時間でも構いません。ご一緒にお参り下さい。
法要後には、清岩寺・伊藤友昭上人から「十夜法要とお念仏」と題したご法話をいただきます。こちらも同じチャンネルでそのままライブ配信いたしますので、ぜひお聴きください(※10月15日追記:ライブ配信のみでリンク先の動画には掲載されておりません。ご了承ください)。

お十夜の歴史は古く、永享年間(1430年頃)にまでさかのぼります。

室町時代の第六代将軍足利義教の執権であった平貞経の弟・平貞国が世の無常を感じ、仏道に生きようと京都の真如堂にこもり、十日十夜の念仏行を行ったことがその始まりとされています。 これを、浄土宗に広めたのが、大本山鎌倉光明寺の第九世観譽祐崇上人でした。

当時、幕府のあった鎌倉で高僧として名高かった祐崇上人は、宮中に参内し『阿弥陀経』の講義を行い、真如堂の僧とともに引声念仏を修したことで、時の天皇より勅許を受け、以来浄土宗寺院でも勤修されるようになりました。

実は、米宮山法源寺はこの祐崇上人によって創建された寺院とされています。 したがって、当山にとっても十夜法要は縁が深く、また、開山以来、五百二十余年にわたり受け継がれてきた大切な法要なのです。

どうぞ、ご一緒に手を合わせていただけましたら幸いです。

南無阿弥陀仏

お参りの作法

もうすぐお彼岸ですね。お墓参りに行かれる方も多いでしょう。
落ち葉や雑草を取り除き、墓石を洗ったり、拭いたりしておそうじされた後、亡くなった方が好きだったものをお供えし、お花をあげ、お線香を焚き、手を合わせられると思います。
ぜひ、手を合わせ故人を想うとき、いっしょに十遍のお念仏(十念)をお唱え下さい。

浄土宗を開いた法然上人は、誰でもできることこそ多くの人が救われる道として、阿弥陀仏の名前を声に出して唱えることを広く勧められました。十遍のお念仏は、まさにその教えを具現化したものです。何も難しいことはありません。10回、南無阿弥陀仏と唱えるだけですが、ちょっとしたコツがあります。

まず、ナムアミダブと4回唱えます(“ツ”は声に出さずに)。
息を継いだ後、さらにナムアミダブと4回唱えます(ここでも“ツ”は声に出しません)。
9回目だけナムアミダブツと“ツ”を入れてお唱えし、10回目は、ゆっくりナームアミダーブーと頭を下げながらお唱えします。

これが十念のお作法です。発声だけを書き出すと以下の様になります。

ナムアミダブ ナムアミダブ ナムアミダブ ナムアミダブ
ナムアミダブ ナムアミダブ ナムアミダブ ナムアミダブ
ナムアミダブツ ナームアミダーブー

言葉だけではわからないという人もいるでしょう。
そんな時はこちらの動画を参考になさって下さい。

十遍のお念仏は、お墓参りの時だけでなく、お仏壇や日々の生活の中でもお唱え頂けます。
いつでも、どこでも、誰にでもできる、簡単にして奥深い実践がお十念なのです。
どうぞ、彼岸の機会に浄土宗の教えに触れ、実践していただたら幸いです。

南無阿弥陀仏 

ダンス×音楽×法源寺 動画が完成!

今年の夏は法源寺にとっても新たな可能性を感じさせる夏でした。NPO法人LAND FESさんによって、4回にわたってダンス×音楽ワークショップが開催され、寺院空間の新たな魅力を感じることができました。

その時の様子は、こちらのおてら日誌でも報告させていただきました(初回2回目3回目最終回)。その後、LAND FESさんからパフォーマンスの様子の撮影動画が完成したとのご連絡をいただきましたので、こちらでも紹介させていただきます。

動画を観ていただければすぐわかると思いますが、「これが法源寺の境内なのか!?」と目を疑うほど非常に格好良く映っております。まるで、映画のワンシーンみたいです!普段身近にあるものほどその魅力には気づけないものですね。第三者の視点で寺院を眺める機会をいただきましたこと、大変ありがたく思います。

このワークショップは全4回行われましたが、各回ごとのワークショップの動画もございます。先生方の紹介も含めてこちらのページに掲載されていますので、あわせてぜひご覧ください。

令和3年 秋彼岸信行会について【Live動画配信】

朝夕の風がずいぶん涼しくなりました。気づけば9月。あっという間に秋の訪れです。

秋分の日をはさんで前後3日間、計7日間は秋の彼岸です。今年は、9月23日(木・祝)が秋分の日ですので、この日が〈お中日〉となり、20日(月・祝)は〈彼岸の入り〉、26日(日)は〈彼岸の明け〉となります。

彼岸とは、〈あちらの岸〉、すなわち、さとりの世界のことです。これに対して、私たちがいる世界を此岸(しがん)といいます。本来、彼岸とは、さとりに至るため六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)と呼ばれる仏道実践を行う期間とされています。また、そのお中日は、太陽がちょうど真東から昇り、真西に沈む日でもあります。

阿弥陀様のいる西方極楽浄土は、その名の通り〈西方〉にあるとされています。極楽浄土には先立たれた懐かしい方々もいらっしゃることでしょう。彼岸に日が沈む方角こそ、まさに仏様がいらっしゃる場所なのです。

真西に沈む夕日を観じながら、仏の世界、さとりの世界へを想いを馳せ、日々の自身を振り返る。彼岸をそのような期間ととらえ、ぜひ仏縁を深めていただきたいと思います。

さて、当山では、例年、彼岸のお中日に信行会を勤修しております。感染症対策に気を付けながら本堂でのお参りもできるよう環境を整えておりますが、遠方の方、心配な方のためにYouTubeでもLive配信をいたします(9月23日18:30になりましたら、このウェブサイト上でも視聴することができます)。素人配信ですので何かと不備があるかもしれません。その際はご寛恕のほどお願い申し上げます。

どうぞみなさまにとってお参りしやすい方法で、同じ時間をともに過ごしていただけましたら幸いです。

南無阿弥陀仏

ダンス×音楽 ワークショップ 最終回!

先週の告知通り、8月28日(土)NPO法人LAND FESさんによるワークショップの第4弾が法源寺会館で行われました。全4回のワークショップもいよいよこの日が最終回。法源寺会館でのワークショップの後、パフォーマンスの収録は富士本町・池田ビルで行われました。

今回、ダンスを教えていただいたのは飯森沙百合さん、ドラム演奏は荒井康太さん。ワークショップでは、自分の体が水だったら、氷だったら、お湯だったら、水蒸気だったら、とイメージしながら、ゆっくり、ときには激しく、そして、たおやかに、たくましく体を使うことを教えていただきました。

また、ペアになった相手と、目と目でつながったり(難しくない)、左肩と右ひざでつながったり(やや大変)、右耳と左のお尻でつながったり(けっこう難しい!)、、、相手を意識しながらの動きも面白かったです。

全4回のワークショップを通じて、体の動きをここまで意識したことはなかったなと改めて身体技法の奥深さを感じました。

それでだけではありません。“水を意識して体を動かす” など、同じ「お題」をいただいても、参加者の表現は人それぞれです。でも、全体ではなんだか調和がとれていて、不思議とバランスよく収まっている、、、。

画一的な動きじゃなくても、各々が他者を意識しながら空間を形作っていく様は、まるで社会そのもののように感じました。これがダイバーシティ(多様性)なのかと。

つい私たちは自分と同じ動きや同じ考え方を他者に求めがちです。異質なものを取り除き、画一的な思考で行動でまとまることは簡単かもしれませんが、そこには広がりはありませんし、変化に対しても脆弱です。

このダンスワークショップのシリーズを通じて、調和のとれた社会≠皆同じ動きをする社会ではなく、個別の動き(個性)を尊重しながらも全体としてまとまることができると感じさせられました。

折しも、東京ではパラリンピックが行われている最中です。一連のワークショップを振り返りながら、多様性や共生社会をより深く考える時間が持てそうです。

ダンス×音楽 ワークショップ 第3弾!

ここのところダンスワークショップの記事ばかり書いていますが、全4回シリーズですので、たぶんもう一回あります(笑)。

さて、本題に入る前に、コトの経緯をご説明しておきましょう。

コロナはデルタ株という変異株によって拡大する一方、県下でもついに緊急事態宣言が適応されました。これにより、市内の公共施設の使用は大きく制限されることになりました。

NPO法人LAND FESさんが主催するこのワークショップも、富士市教育プラザで開催される予定でしたが、当然その影響を大きく受けます。開催まで日が迫っている中で、他に使える会場はないかとご相談いただき、前回に引き続き法源寺会館での開催となったというわけです。

行政の施設は、お役所の指示に従わざるを得ませんが、その点お寺でしたら少しくらい融通が利きます。もちろん、感染症対策はしっかり行っています(実際、ダンスワークショップ中はほとんどおしゃべりはなく、みなさん一心不乱に踊っています)。

そのようなわけで、8月21日に第3弾のワークショップを法源寺会館で開催したのです(パフォーマンスの収録は場所を変えて富士川のほとりで行いました)。

ダンスを教えていただいたのはAAPAさん、ギターを演奏してくださったのは細井徳太郎さん。普段あまり意識しない体の動きを感じて、ときほぐした後、「表面」や「肉」や「骨」を感じて動き出す。踊っていて飽きたら歩く。他の人の踊りを見て感じるところがあったらまたそこから動き出す。という、即興性の高いワークでした。

わずかな時間ではありましたが、なんだかお寺がアート空間になったような気がしました。きっと皆さんの踊りっぷりを見てた阿弥陀様も驚いているんじゃないでしょうか(笑)

今回で3回目の開催ですが、うれしいことに若者就労支援窓口 ココ☆カラに通う若者たちも顔を出してくれるようになりました。農園部にも来てお手伝いしてくれる面々です。

さて、この一連のワークショップは「LAND FES DIVERSITY in 富士」という名称です。DIVERSITY(ダイバーシティ)とは、「多様性」という意味です。

私たちは、性別、年齢、国籍、人種、信仰、障害、病気、価値観など様々な「自分」を形作る枠を持っていますが、みなそれぞれ違います。既存の枠に収まらないこともあるでしょう。本当は違うのに無理して多数派にあわせている人もいるかもしれません。他者との違いに生きづらさを抱えている人もいるかもしれません。

誰もがありのままの自分でいられる社会、これこそが多様性のある社会ではないでしょうか。

この3回のワークショップから、「LAND FES DIVERSITY in 富士」は、アートパフォーマンスを通じてこれまで交錯することのなかった人たちと出会い、そこからさらに他者への思いをはせる場である、と感じています。

来週8月28日(土)も、法源寺会館で行われます(最終回)。興味を持たれた方はぜひ見に来てください。きっと自然と体が動き出すはず(?)。お問い合わせは【こちら】まで!

ダンス×音楽 ワークショップ 第2弾!

8月14日午後、法源寺会館でNPO法人LAND FESさんによるダンスワークショップが開催されました。

これは先日行われたワークショップの第2弾企画として、当初は富士市教育プラザを会場に予定されていたものですが、まん延防止等重点措置の適用により使用が制限されたため、急遽会場借用の依頼を受け、開催に至りました。

今回のダンスを教えてくださったのは笠井瑞丈さん、楽器(太鼓と銅鑼)を演奏してくださったのはチェ・ジェチョルさん。お二人とも海外でも活躍されている、すごいお方でした。ありがたいですね。

樹齢300年の樹をイメージしてその成長を身体で表現したり、自分の意思とは違う何かによって(ワークショップ中は「小人」と表現されていました)身体を操作したり、いただくお題はとってもユニークでしたが参加者一同、身体をめいっぱい使って、普段とは違う自己表現を楽しんでいらっしゃいました。

当日はあいにくの雨模様でしたが、会館の中は終始にこやかな雰囲気で楽しくワークショップができました。こちらも映像作品になるようですので、それもまた楽しみです。

さて、このワークショップは、LAND FES DIVERSITY FUJI 2021という企画の一部です。8月21日、8月28日と、まだあと2回ありますので、興味を持たれた方はぜひ参加してみてください。お問い合わせは こちら まで。

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