11月11日~12日、住職、副住職、檀信徒の皆様、総勢19名で、おてつぎ信行奉仕団として総本山知恩院へ行ってまいりました。
おてつぎ信行奉仕団とは、手から手へ信仰を継ぐ修行体験のことで、京都の総本山・知恩院で、お念仏の称え方や礼拝の仕方などを学ぶとともに、作務(清掃活動)を行います。お勤めでは、普段入ることのできない、集会堂や国宝・御影堂の内陣などでお参りをすることができます。こうした知恩院での仏道修行を通じて、日頃の生活や自分自身を見つめなおす機会をいただき、念仏の信仰を深めるというものです。
11月11日は朝5時に法源寺を出発し、途中休憩をはさみながら10時に知恩院に到着しました。到着後、結団式、御影堂参拝、別時念仏を勤めます。なかなかハードなスケジュールですがこれも修行のうち。シンプルな精進のお昼でしたが、気持ちが修行モードに入っているせいか御飯が美味しく感じます。
昼食後は、礼拝、法話、清掃活動を行いました。この日は晴れていましたので、黒門の階段付近の落ち葉掃きを行いました。石畳の溝があるので、落ち葉を集めるのも一苦労です。でも、みんなで力を合わせ、ゴミ袋2袋分の落ち葉を集めることができました。
その後、宿坊であるホテル和順会館に入り、講堂にて法話を聴き、夕食となりました。ご法話をいただいたのは奈良教区・九田寺の辰己順祐上人です。実は辰己上人、インスタグラムで法源寺とつながっていましたが、たまたま巡り合わせで今回のおてつぎ信行奉仕団の係になったそうです。オンラインでは繋がっておりましたが、直接お会いするのは初めてで、不思議なご縁をいただきました。柔らかな口調で仏教の教え(四苦八苦)、浄土宗の教え(阿弥陀様の浄土、倶会一処)をお取次ぎいただきました。
夜は門限(23時)まで、自由時間!おりしも知恩院では「おてつぎフェス」というイベントが行われていました。大阪の上宮高校(浄土宗の宗立高の一つです)の書道パフォーマンス部の生徒さんが、国宝の三門前で大きな紙に「一心専念 弥陀名号 行住坐臥」と書いて下さましたが、迫力満点のダイナミックなパフォーマンスに圧倒されました。
この句は浄土宗開宗の文の一部です。法然上人が師と仰がれた唐の高僧・善導大師の書かれた『観無量寿経疏』の中に以下のような一説があり、これを目にした法然上人が念仏の行であらたに宗派を打ち立て、浄土宗が開かれたとされています。
一心専念 弥陀名号 行住坐臥 不問時節久近 念念不捨者 是名正定之業 順彼佛願故
【意味】
一心に南無阿弥陀仏とおとなえし、いつでもどこでも、場所や時間も気にすることなく、お念仏を続けられる事こそ、阿弥陀様が極楽往生に相応しいとされた行である。なぜなら、これこそが「あらゆる方を救いたい」と誓った阿弥陀様の願いにかなっているからである。
来年は浄土宗が開かれて850年という節目の年を迎えます。こうして宗派をあげて念仏の教えを広めていくことで次の50年、100年と受け継がれていくことでしょう。
翌朝は朝から国宝・御影堂でお勤めに参加しました。朝の御影堂はずいぶん冷えましたが、身体のうちから温まるよう、みなさん一生懸命にお念仏をおとなえしていました。
朝食後、解団式をして、ここからはお楽しみタイムです。今回は、石清水八幡宮と松花堂庭園に参りました。石清水八幡宮といえば、徒然草で「少しのことにも先達はあらまほしき事なり」(どのようなことでも案内役(指導役)は欲しいものである)で有名な神社です。ケーブルカーで上にあがると、遠くに京都タワーを眺めることができました。また、松花堂庭園では隣接する京都吉兆で松花堂弁当をいただき、心もお腹も満たされる観光となりました。
さて、徒然草ではありませんが、今回こうして総本山知恩院で貴重な体験ができたのも、おてつぎ信行奉仕団としてお参りできたからです。普段は入れない集会堂や大方丈などでお参りしたり、見学したり、また法話を通じて念仏の教えの真髄に触れたりと、ご案内いただいた知恩院の行係の先達なしでは経験することができなかったことでしょう。
帰りのバスの中での檀信徒の皆様の笑顔からも、今回の旅の満足度が伝わってきました。
また、こうした機会を設けたいと思いますので、ご家族、お友達にもお声掛けいただき、多くの皆様にご参加いただけたら幸いです。ぜひ一緒に知恩院へ参りましょう。
南無阿弥陀仏