今年もゴールデンウィークは自粛期間となってしまい、なかなかうつうつとした日が続いています。そんななか、富士宮市の浄土宗寺院・来迎寺で地域づくりのための新たな挑戦が始まったというニュースが飛び込んできました(富士宮市に地域のみんなが集まるおてらカフェを作りたい!)。
コロナ禍であらゆることが自粛や中止される中、地域の人のための居場所づくりを新たに始めたというのですからこれほど素晴らしいことはありません。しかも、クラウドファンディングという、インターネットを通じた浄財勧募(寄付のお願い)という点も目新しく、興味をひくものです。
兼務住職として来迎寺を守ってきた平等寺住職・岩田照賢上人は、これまで介護者カフェやひきこもりの親の会などを行ってきましたが、今回の寄付を元手に、寺院のバリアフリー化や子ども食堂のための調理器具の購入などを行い、老若男女、地域の誰もが集まれる居場所づくりに取り組むとのことです。
実は、寺院では昔から、修繕や建立のために勧進(かんじん)という制度がありました。もっとも有名なのは、奈良の大仏でしょう。聖武天皇の命によって造立された大仏は、行基という高僧によって勧進が行われました。行基は、行基菩薩とも呼ばれるほど民衆の信頼が厚かったため、多くの寄付や人手が集まり、大仏造立が成し遂げられたといわれています。
そういう意味では、寺院によるクラウドファンディングは、「現代版勧進」ということができるかもしれません。しかし、クラウドファンディングにしろ、勧進にしろ、その成功の鍵を握っているのは、呼びかける僧侶や寺院が、人々に広く愛されているか、必要とされているか、という点でしょう。
地域のため、社会のために何ができるか。来迎寺のクラウドファンディングは、寺院のこれからの姿を考えさせられる新たな挑戦のように思います。ぜひリンク先の記事をご覧いただき、余力があればクラウドファンディングにもご協力いただければ幸いです(返礼品も魅力的です)。