深大寺参拝(岳陽組団参)

4月12日(土)、静岡教区岳陽組の春の団参として、東京都調布市にある深大寺へ行ってまいりました。岳陽組としては98名、うち法源寺からは19名の参加でした。

深大寺は、天台宗の別格本山で、天平5年に開創されたといわれています。都内では浅草寺に次いで二番目に古いお寺です。

厄除元三大師で厄除けのお寺と多くの方から知られていますが、それ以外にも釈迦如来像は国宝に指定されており、大変見ごたえのあるお寺です。また深大寺で行われるだるま市は、「深大寺だるま市」として知られ、日本三大だるま市のひとつにも数えられています(ちなみに富士市の毘沙門天大祭だるま市も日本三大だるま市のひとつです)。

深大寺といえば「そば」が有名ですが、江戸時代にその土地がそばの生産に適しており、そば粉をお寺に納めていたそうです。そのような歴史から「深大寺そば」が多くの方に親しまれるようになりました。参道の茶屋は、ほとんどが蕎麦屋さんでしたので、深大寺参拝後、私たちもお蕎麦をおいしく頂きました。

昼食の後は腹ごなしに周辺散策。
深大寺を北へ向かうと神代植物公園があります。とても広くて、さまざまな植物があり、春夏秋冬楽しめる植物園です。この日は行楽日和であったせいかお花見や、ピクニックの人であふれていました。ちょうど桜が終わり頃を迎え、風に吹かれ散っていく桜も風情がありました。

お天気にも恵まれ、落ち着いた空気の中で過ごすことができ、とてもよい団参となりました。

ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
またぜひご一緒に参りましょう!

南無阿弥陀

【4月の言葉】呼ぶ喜び 呼ばれる嬉しさ

知らない人に声をかけるのは勇気がいります。でも、その一言がよりよい関係を築いていく一歩になりますよ。
Talking tto someone for the first time takes courage, but can also be the beginning of a good relationship.
**********************************************
浄土宗月訓カレンダーの4月の言葉。
字は大本山増上寺第89世法主小澤憲珠台下の揮ごうです。
**********************************************

4月は進学や就職など新たなステージで新たな出会いを経験する人も多いでしょう。
初めての場所で期待と不安を抱きながらドキドキしているとき、仲間ができるとうれしいですよね。

これから起こるであろう楽しいことを分かち合える人との出会いには誰しも胸が躍ります。

最初のきっかけづくりが肝心です。自分から声をかけるか、それとも声をかけられるのを待つのか。本当は自分から声をかけたいのにそっけなくされてしまうのが怖くて、つい声をかけられるのを待ってしまう。そんな気持ちもわかります。

自分がそんな不安を感じているなら相手もそうかもしれません。勇気をもって声をかけてみると意外とうまくいくこともあるでしょう。

そんな時はぜひ名前を呼んで声をかけてみてください。名前を呼ばれると人は不思議と嬉しくなります。なぜなら、他ならない私を認識してもらっている、覚えてもらっている、という感覚が沸き上がるからです。

呼ばれることの嬉しさを感じた人は、名前を呼ぶことにも積極的になれるはず。人を嬉しくさせるというのは、言い換えれば人を幸せにするということ。「幸せにする」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、日々の生活の中に心がほっとする、豊かになる、そうした瞬間にも私たちは「幸せ」を感じます。ですから、名前を呼ばれて嬉しいなぁと思ってもらえたら、それは小さな幸せを提供できたということです。

周りの人を幸せにできることは喜ばしいですよね。

呼ぶ喜び 呼ばれる嬉しさ

さて、浄土宗では「なむあみだぶつ」と念仏をとなえることが大事と説きます。これは、阿弥陀仏の名前を呼ぶことにほかなりません。

法然上人が師と仰ぐ善導大師の遺した書物の中に、「衆生しゅじょうほとけとなうれば、ほとけこれをたまう」(わたしたちが阿弥陀様の名前をとなえれば、阿弥陀様はお聞きくださる)という一説があります。その名をとなえれば、きっとその声は届くということです。

さらに、その先には「衆生しゅじょうほとけねんずれば、ほとけ衆生しゅじょうねんたまう」(わたしたちが阿弥陀様を念じれば、阿弥陀様もまた私たちのことを念じてくださる)と続きます。私たちが思いをかければ、阿弥陀様もまた私たちに思いを寄せてくださるということです。

きっと阿弥陀様は、私たちの呼ぶ声を聴き「よく頼ってくれたね」と喜び、救いの手を差し伸べてくれることでしょう。

今月の言葉には、そうした意味合いも込められているのではないでしょうか。

現世での人との関係性であれ、来世を願う中での仏様のとの関係性であれ、名前を呼ぶことはとても大事なコミュニケーションと言えるでしょう。新年度、新生活で初めて会う人同士に限らず、普段の生活の中で、身近にいる人、いつも接している人にもぜひ和顔をもって名前をよんであげてください。

南無阿弥陀仏

春彼岸信行会をお勤めしました

暑さ寒さも彼岸までと言いますが、この1週間はみぞれが降るほど冷え込んだり、汗ばむ陽気になったり、体調管理が難しい1週間でした。

そのようななか、17日には春の彼岸を迎え、中日である20日にはの春彼岸信行会を本堂にておつとめしました。

彼岸は中日を境に前後3日ずつありますが、この1週間の間に彼岸(=さとりの世界、浄土)へ行くための仏道修行を行う時期と言われています。仏道修行は以下の6つで、これらを六波羅蜜と呼びます。

布施(ふせ)・・・貪りの心を捨て他者に施すこと
持戒(じかい)・・・きまりを守ること、もし破ったら悔い改めること
忍辱(にんにく)・・・ぐっとこらえて我慢すること
精進(しょうじん)・・・努力を怠らないこと
禅定(ぜんじょう)・・・心を静かに精神集中すること
智慧(ちえ)・・・偏らない心で物事を正しく見ること

中日は春分の日で、ちょうど太陽が真東から上がり、真西に沈む日です。
沈む夕日の先には西方極楽浄土があるといわれています。
西方極楽浄土には先立った方々がいらっしゃると信じられてきました。
西に傾く太陽のその先に西方極楽浄土を想い浮かべ、そこにいらっしゃる故人に思いを馳せ念仏にいそしむのがお彼岸のあるべき過ごし方と言えるでしょう。

そうはいってもみなさまお忙しく、なかなかお参りに来ることは難しいようで、今回の信行会は少人数でのお勤めとなりました。
しかし、念仏一会の時間をたっぷりとり、礼拝も行いましたので、阿弥陀様のお顔を見ながらしっかりとお念仏をとなえることができたのではないかと思います。

忙しい日々の中で足を止めて、家族のこと、自分のことを想いながら時を過ごす。

ご参加いた皆様にとっては、そのような時間になったのではないかと思います。
一人ひとりの念仏の声がだんだんと大きくなり、本堂によく響いた春彼岸のお勤めとなりました。
よくぞお参りくださいました。

南無阿弥陀仏

【3月の言葉】香薫にあの人を想う

3月はお彼岸の月です。漂う春の香りに、極楽浄土の大切な方々へ想いを寄せるひと時としてください。
With scents of spring at Ohigan (equinox), let us turn our thoughts to the loved ones in the Pure Land.
**********************************************
浄土宗月訓カレンダーの3月の言葉。
字は大本山増上寺第89世法主小澤憲珠台下の揮ごうです。
**********************************************

2月は寒い日が続きましたが、このところ気温がぐっと暖かくなってきました。
花粉もちらほらと飛んでいるようで、花粉症にはつらい季節が始まります。

3月は春の彼岸のある月です。このお彼岸の時期にお墓参りに行かれる方も多いでしょう。

今年は、3月20日が春分の日(お中日)ですので、その前後3日間を含め7日間がお彼岸になります。当山では20日の18:30より彼岸信行会を行います。ぜひ本堂にお参りいただければ幸いです。

さて、今年の月訓カレンダーの3月の言葉は、「香薫にあの人を想う」です。

香薫は香と薫という二つの文字が組み合わさっています。どちらも「かおり」を意味するものですが、少しニュアンスが異なります。

「香」という字は、鼻で感じられるよい匂いがすることを意味し、具体的に感じる匂いとして用いられます。一方、 「薫」は、どことなく匂うという意味で、漂っているにおい、肌で感覚的に感じられることに対して使われ、比喩的・抽象的な表現に用いられるといいます。

仏教には、薫習(くんじゅう)という言葉があります。薫習とは、香りが物に染みつく様子になぞらえた表現で、人の精神や行いが別の人の心にまで影響を与えていくことを意味します。たとえば、よい人と行動を共にしていると、気がつかないうちに自分もよい行動をとるようになる、といったことです。

自分の考え方や行動は亡き人の薫習の賜物かもしれません。今月の言葉には、お線香のよい香りが亡き人の記憶を喚起するだけでなく、自分の内側にあるものにふと気づいた時に、亡き人の存在やありがたさにあらためて気づく、という深い意味があるように思えます。

ぜひこの春彼岸を機縁として、この世では会えない大切な人に想いを寄せてみてください。

みなさんは香薫の向こうにどんな人を想い浮かべますか?

南無阿弥陀仏

農園部の活動報告-春ジャガイモ植え付け

法源寺では飛び地境内を活用して農園活動を行っています。

きっかけは、ひきこもりや不登校の当事者・家族を支援するNPO富士市若者相談窓口「ココ☆カラ」の方から、コロナ禍で就労体験、社会体験できる場が減っているので、何か活動できることはないかというところからでした。そこから、草取りをはじめ、草取りだけではつまらないと畑を開墾したのが農園部の始まりです。

2021年に始まったこの農園部も今年で5年目を迎えます。

先日はこの活動の一環でジャガイモを植えました。
今年は定番のキタアカリに加え、インカのめざめ、アンデスレッドといった変わり種にも挑戦です。立てた畝に溝を掘って、30cm感覚で種芋を並べていきます。

種芋をたくさん用意したので、うちの子供たちにも手伝ってもらいました。

砂遊びの感覚でしょうか(笑)

地温を上げるため、また雑草防止のため、植え付けの後マルチ(黒いビニール)を張るのですが、年々上手くなっているような気がします。何事も経験ですね。

作業中、小鳥が畑にやってきて心配そうに見つめていました。
調べたらジョウビタキという鳥のようです。芽は食べちゃダメだよ。

今年もちゃんと育ってくれるでしょうか。どうぞご期待ください。

涅槃会と絵解き―「如是我聞」の秘密

2月15日は、お釈迦様が涅槃に入られた(亡くなられた)日といわれています。涅槃(ねはん)とはサンスクリット語のニルバーナを音を漢字にあてたもので、さとりの境地、苦しみが消滅した状態を意味します。当山では、2月15日の13時より、後世に残る仏教の開祖であるお釈迦様のご遺徳を偲び涅槃会を厳修いたしました。

涅槃会の後は、「絵解き」を行いました。絵解きとは図像の解説のことです。

少しご紹介しますと、お釈迦様が横になっているすぐ下に、伏してうなだれている若いお坊さんがいます。この人は阿難(あなん)といい、お釈迦様に付き従い、身の回りの世話をしていたお弟子さんです。お釈迦様の十大弟子の一人で、お付きとして常に説法を聴いていたことから多聞第一(たもんだいいち)と呼ばれていました。師として長年仕えてきたお釈迦様の入滅に際し、自分はこれからどうしていったらいいのかと嘆き悲しむ様子が描かれています。

阿難はその後、仏典の編集で大きな功績を残します。

中央下にいる若い僧形の人が阿難です

多くのお経は「如是我聞」(かくのごとく、われ聞けり)で始まることが多いのですが、この「我」とは阿難のことです。お釈迦様が亡くなった後、弟子たちが集まって、教えを書き記そうとしました。これが後にお経となるのですが、その際、お釈迦様のそばでよく説法を聞いていたことから、阿難は経典の編集者として重宝されることになります。

もし阿難がいなければ、如是我聞(現代語訳:お釈迦さまからこのようにうかがいました)といって始まるお経はなかったかもしれません。

2月いっぱいまでおまつりしてありますのでぜひご覧ください。

涅槃図と武田信玄騎馬像の展示

当山では毎年2月に涅槃図を本堂におまつりしています。

法源寺に伝わる涅槃図は、弘化4年に当時の檀信徒の寄進によって収められたとの記録が残っています。弘化4年といえば、西暦1847年です。ペリーが黒船に乗って浦賀沖に現れたのが1853年ですから、それよりも6年前に作られたものです。180年近く経ちますが、色はとても鮮やかに残っています。

また、今年は巳年ということで、巳年生まれの戦国武将・武田信玄騎馬像も堂内に展示いたしました。こちらの騎馬像は当山檀家で、もともとは武田家の家臣であった高田家所蔵の逸品でしたが、高田家よりご寄進いただき、これを機縁として当山で修復、保管してまいりました。戦国時代、富士山の南麓は武田、北条、今川の三氏の勢力争いの境界線でしたので、この騎馬像の伝来の話はそうした名残を感じさせます。

どちらも2月いっぱい本堂におまつりしております。

2月15日(土)午後1時からの涅槃会にあわせ、涅槃図は絵解きも行います。

どうぞご覧くださいませ。

南無阿弥陀仏

【2月の言葉】ほのかな光で花は開く

わずかな光の下でも植物が少しずつ育つように、
日々の小さな出来事も自分の糧としていくことが大切です。
A flower will bloom even with the faintest of light.
**********************************************
浄土宗月訓カレンダーの2月の言葉。
字は大本山増上寺第89世法主小澤憲珠台下の揮ごうです。
**********************************************

みなさんは「因縁」という言葉を聞いたことがありますか。実は「因縁」は仏教の言葉なのですが、因と縁はそれぞれ違う意味があります。

因とは直接の原因となるもの、それに対して縁とは間接的な条件のことです。

花で例えるなら因は種です。種がなければどんな植物も芽を出しません。それに対して、縁は土や水、日光など、芽を吹かせ、葉を茂らせるための様々な条件のことを指します。種がなければそもそも芽が出ませんが、種さえあれば花が咲くかと言ったら決してそんなことはありません。因と縁があわさって、初めて花が咲くのです。

このことを仏教では因縁生起(いんねんしょうき)といい、世の中のありとあらゆるものはこの因と縁によって生じていると説きます。

もちろん私たちもです。

因とは、この世に生を授けてくれた両親のことでしょう。そして縁とは、家族や友人、恩師など、今の自分を形づくるのに欠かせない人たちのことですね。場合によっては、「あの時のあの経験が」とか、「あの人のあの言葉が」とか、過去に体験したことが今の自分に大きな影響を与えているという人もいるかもしれません。まさにこれも縁といってよいでしょう。

今年の月訓カレンダーの2月の言葉は、「ほのかな光で花は開く」です。

縁は、出会った直後、体験した直後は何とも思わなくても、後になって心にずしりと響いてくるものもあります。今は関係ないと思っていることでも、後から振り返れば「あれがターニングポイントだったな」と思うことも少なくありません。

きっと、日々の小さな出来事も、私たちを形づくる縁となっていくことでしょう。
そして、私たちもまた誰かの縁になることでしょう。
私たちが縁によって花を開かせるように、私たちもまた誰かの花を開かせる縁になるに違いありません。

世の中に美しい花がたくさん咲くよう、縁を紡いでゆきたいものですね。

南無阿弥陀仏

【1月の言葉】新たな芽の出る年に

今年はどんな年になるのか、どんなことをしようか、
そんな期待にワクワクしながら、目標を立てるのもいいものですね。
This is the year to take another step forward.
**********************************************
浄土宗月訓カレンダーの1月の言葉。
字は大本山増上寺第89世法主小澤憲珠台下の揮ごうです。
**********************************************

新年あけましておめでとうございます。

一年の計は元旦にありと言いますが、みなさんはどのような目標を立てましたか?
これまで続けてきたことがもっと上達するようにと願う人もいれば、新たな事に挑戦しようという人もいるかもしれません。受験や就職などまさに今正念場を迎えようとする人もいるでしょう。新年の決意は人それぞれですが、どんな目標でも立てて、そこに向かって努力することが大切です。

今年の月訓カレンダーの1月の言葉は、「新たな芽の出る年に」です。

新たな芽が出るには、枝から栄養を送らなければなりません。
枝から栄養を送るためには、幹がしっかりしていなければなりません。
幹がしっかりするためには、根が深く張られていなくてはなりません。

私たちが日々行っている何気ないことも、実は新たな芽を吹くための根っこになっているのかもしません。一日一日、一言一言、一挙手一投足を大切に、暮らしてゆきたいものです。

さて、今年は巳年。干支の動物はヘビです。ヘビは金運の象徴としてよく知られていますが、脱皮をすることから再生や新たな命の象徴としても崇められています。

年頭に思い描いた新たな自分に生まれ変わる一歩をともに進んでまいりましょう。

南無阿弥陀仏

「年末の応援会」開催(12月28日)

行政サービスが休業になる年末年始、自由に安心して過ごせる居場所を、ということで今年も12月28日にフードサポートネットワークFujiさんに法源寺会館をお使いいただき「年末の応援会」を行いました。

年末の応援会は、必要な方に食料や衣類、日用品などをお持ちいただくフードパントリー活動ですが、生活相談なども受け付けています。そのほか、お昼ごはんを食べたり、コーヒーを飲んだり、安心して思い思いの時間を過ごせるようボランティアの方々が運営をしてくださいました。法源寺からもお檀家さんからお供えいただいたお米を5合ずつ小袋に分け、40袋ほど用意し提供させていただきました。

当日は、ウクライナからの難民の方や行き場のない若者、高齢の単身者など年齢も性別も背景も様々な人がお立ち寄りいただき、必要な物資を手にお帰りになられました。「駆け込み寺」という言葉があるように、困ったときに頼りになる場所でありたいと思います。お見えになった方々にとって、今回の活動が年を越すのに少しでも役に立てたのなら幸いです。

皆様もどうぞよいお年をお迎えくださいませ。

南無阿弥陀仏

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com