【4月の言葉】それでも花は咲く

今の環境があなたにとってよくないものと感じたとしても、それはあなたの糧となり結果につながるものです。
If the present seems daunting, press forward.
With time, good things will come.
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浄土宗月訓カレンダーの4月の言葉。
字は大本山善導寺第68世法主日下部匡信台下の揮ごうです。
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4月を迎え、進学や就職など希望にあふれた未来を想像する人もいるでしょう。
また、卒業や退職といった節目を迎え、新たな人生のステージへと進む方もいるでしょう。
春は終わりと始まりの季節です。

しかし、そうした節目を迎えることなく、突然、命の終わりを迎えてしまった人もいます。
15年前の3月11日、東日本大震災が起こり、多くの尊い命が失われました。自然災害が多い日本ですが、あれだけの被害を出した災害はそう多くありません。

日本中が悲しみに暮れ、鎮魂の祈りがささげられる中、復興支援ソングとして「花は咲く」という歌がNHKによってつくられました。そこはかとなく悲さを帯びながらも、優しくゆったりとしたメロディが耳に残ります。CMやテレビ番組でよく流れていたので覚えている方も多いのではないでしょうか。東北ゆかりの歌手や俳優、タレントの方々がリレー形式で歌っていく(一節ごとに声が変わる)という形式も特徴的でした(私は特に西田敏行さんの声が好きでした)。

歌詞もまた印象的です。

残された人が亡くなった人のことを想って語る言葉(歌詞)もあれば、亡くなった人が現世で生きる人のことを想って語る言葉(歌詞)もあり、生者と死者の交感が描かれているように感じられます。とくにサビの部分はぐっとくるものがあります。

花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に
花は 花は 花は咲く 私は何を残しただろう
花は 花は 花は咲く いつか恋する君のために

震災後に咲く花といえば、季節は春ですから桜でしょうか。
あちらの世界から、こちらの世界で咲く花を愛でながら、現世で生きる残された人、これから生まれる命、そうしたものへ想いを寄せる抒情的なフレーズです。あの世からの視点で歌うことで、こちらの世にいる人たちが、一緒に見たかったあの人は今はいないという寂しさを感じていることも示唆されます。

この歌には、この世の、目に見える世界だけで完結していない世界観が描かれているのも素敵だなと思います。震災でなくても、大切な人との別れを経験した人は大勢います。災害であれ、病気であれ、寿命であれ、あの人が今生きていればなぁと思い出すことがあるのではないでしょうか。そうした人にとってもこの歌の持つメッセージ性は響くのではないでしょうか。

生きていくことは楽しいことの連続ではありません。
ときには苦しく、辛い、悲しいこともあります。

苦しいとき、辛いとき、悲しいとき、人は下を向きがちです。
しかし、下を向いていては空に向かって伸びる桜を目にすることはできません。

その桜だって、一年の間、暑い日、寒い日、雨の日、風の日を耐えて、美しい花を咲かせるのです。

それでも花は咲く

春は出会いと別れの季節でもあります。心躍る出会いを経験した人の上にも、悲しい別れを経験した人の上にも、桜は同じように咲いています。

すぐに、とはいいません。
それでも咲く花のように、いつか笑顔の花が咲きますように。

南無阿弥陀仏

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