涅槃会をお勤めしました

2月15日はお釈迦様が入滅された日(=御命日)と言われています。当山では毎月17日に観音講をお勤めしていますが、今月は少し日を早め、皆さんと一緒に涅槃会をお勤めいたしました。

涅槃(ねはん)とはサンスクリット語のニルバーナを音を漢字にあてたもので、さとりの境地、苦しみが消滅した状態を意味します。

入滅することを、「涅槃に入る」とも表現しますが、これは、物理的な肉体の終わりによって身体的な苦からも脱し、いかなるものごとにも煩わされることのない寂静の境地に至ることを表しています。

この時期、本堂にはお釈迦様入滅時の様子を表した涅槃図をおまつりしています。

当山の涅槃図は弘化四年(1847)に、法源寺の檀信徒によって寄進されたものであることが裏書に記されています。160年以上前に書かれたものとは思えないほど、鮮やかな色彩が残っています。

法要後には、住職が絵解き(涅槃図の解説)をし、お釈迦様のお母さまである摩耶夫人、霊薬袋(一説には衣鉢袋とも)のエピソード、お釈迦様に最後まで付き従った弟子・阿難尊者(アーナンダ)、8本の沙羅双樹の葉の様子などをお話ししました。

涅槃図は2月末まで本堂内におまつりしております。手が届きそうな距離で(もちろん手を触れてはいけませんが)、これほど間近に見ることができるのはそうそうないかと思います。

この機会にぜひお近くでご覧ください。

インターネット時代の葬儀

先日のことです。当山の檀家さんではありませんが、お世話になった方の訃報を受け、枕花をもって弔問に伺いました。

亡くなられた方の息子さんは私の教え子で、現在は遠方に住んでいます。葬儀はどうするのかと尋ねると、インターネットで頼みましたとのこと。

たしかに遠く離れた地に住んでいたら、地元の葬儀社も知らないでしょうし、時間のない中で段取りをしなければならなかったので、インターネットで調べてお願いしたのでしょう。致し方のない決断だったと思います。

しかし、よくよく聞いてみると、引き受けた葬儀社は少し離れた地域の方。料金プランの都合で、ご遺体はご自宅には帰れず、葬儀社の預かりとなっていました。そして、通夜葬儀は行わず、火葬場でお別れのみ、いわゆる直葬でした。もちろん、読経する僧侶もいません。塔婆も白木の位牌も装具もありません。

生前お世話になった方でもあったので、「私が読経しますから」と息子さんに言い、せめて火葬場での読経をさせていただきたいと申し出ました。

長く教育界に携わっていた方でしたので、当日は多くの方が火葬場にお見えになりました。その方の住んでいた町の市長さんもお見えでした。しかし、火葬場での焼香ですので、最期の別れを惜しむ間もなく、せわしなく時は過ぎていきました。また、花入れの花もなく、先日、持参した枕花をばらして、皆で手向けました。

子どもだからといっても、親の交友関係やその足跡をよく知っているわけではありません。田舎に暮らす高齢の親が亡くなったら、つつましく見送って終わりにしようと思うのもわからなくもありません。一方で、実際、葬儀になってみて、これだけ多くの人に見送られるならもう少しゆっくりお別れの場を持てたらよかったのではないかと思ったかもしれません。

現代は、インターネットで何でも調べることができます。葬儀や仏事など縁遠いものですから、誰かに聞くより、「検索」してしまった方が早いでしょう。でもそこに現れる情報が最適解だとは限りません。

もっとこうしてあげればよかった、ああしてあげればよかった、利便性や手軽さだけを求めて、そんな後悔をしないよう、溢れる情報の中から何が正しいのかを取捨選択する力がインターネット時代を生きる私たちには求められているのかもしれません。

とはいえ、急なことで気が動転するのは当然です。平生からの備えが大切とは申しますが、なかなか相談相手や相談の機会がないかもしれません。何かの時には遠慮なく菩提寺を頼っていただけたらと思います。 

南無阿弥陀仏 

住職

お寺の草刈り with ココ☆カラ

昨日、富士市若者相談窓口「ココ☆カラ」に通う若者たちと、飛び地境内地の草取りをしました。

「ココ☆カラ」は、NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡が運営する団体で、ひきこもりや不登校などの生きづらさを抱える若者やそのご家族の支援を行っています。

昨年からスタッフの方とつながり、若者たちに境内地の草刈りに来ていただいたり、年末お困りごと相談会の場所として会館を貸し出したりと、寺院として若者支援のお手伝いをはじめています。

実はこの草刈は昨年12月に引き続いて2回目でして、おかげでずいぶんきれいになりました。

ここは以前畑だったのですが、お手伝いしてくれた若者たちと「また耕して何か育てられたらいいね」と次なる構想も膨らんできました。

今後の展開が楽しみです!

念ずれば花ひらく

新年あけましておめでとうございます。

2020年は新型コロナウイルスに振り回された一年となりましたが、今年はどんな年になるのでしょうか。感染症が早く収まり、平穏な暮らしが戻ってくることを願っています。

「念ずれば花ひらく」とは、仏教詩人・坂村真民(さかむら しんみん)が残した言葉です。

しかし、当然ながら念じるだけでは花は開きません。種をまき、水をやり、気にかけ、世話をし、はじめて花が咲くのです。ところが、「花を咲かせたい」という想いがなければ、種を植えることも、水をやることもないでしょう。私たちは「こうしたい」という想いがあるからこそ、それに向かって努力をすることができますよね。何かを始めるきっかけ、それが念じること(=想いを起こすこと)なのです。

新年を迎え、皆様の心には様々な願いが起こっていることと思います。心に念じたら、それが成就するよう、日々精進したいものです。

今年一年、皆様の花がきれいに開きますように。

南無阿弥陀仏

新型コロナウィルスへの対応

コロナ禍によって、私たちの社会活動は大きな制限を受けています。

緊急事態宣言が発出された当初、世の中の社会経済活動の多くはストップし、社会は大きな混乱に見舞われました。未知の感染症への対策としては当然のことだったのかもしれません。

葬儀の縮小化、法事の延期・中止などもこのころにはよく見られました。当山でも、お盆の施餓鬼会や彼岸信行会など多くの方が集う法要は参加者の人数制限をしたり、茶菓の提供を差し控えたりと状況も見ながらその都度対応を試みています。

しかし、人と会えない、外に出られないことが、多くの人にとってストレスにもなりました。法要の営みによって育まれる「つながりの確認」は、仏事の大切な役割のひとつでもあります。そこで、寺院として感染防止対策に努めることで、安心してお寺に足を運んでもらい、人とのつながり、仏様とのつながりを感じていただけるよう以下の対策をとっております。

玄関に非接触型体温計の設置

玄関・本堂入口にアルコール消毒の設置

堂内での間隔をあけた座席配置

本堂内の換気

マスク着用の勧奨

檀信徒のみなさまにはご不便をおかけしますが、事態が収束するまでご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。

ウェブサイトはじめました

「冷やし中華はじめました」みたいなタイトルになってしまいましたが、遅ればせながら法源寺のウェブサイトを立ち上げました。

社会の変化は目を見張るばかりですが、家族や近所付き合いのあり方も、ずいぶん変わりました。

お寺とどうお付き合いしていいのかわからない…、こんなこと聞いてもいいのかしら…そんな思いをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

ですので、このウェブサイトは、たんにお寺からの情報発信だけでなく、みなさんのお寺や仏事にまつわる疑問や悩みが少しでも解消されるようなサイトにしていきたいと思っています。

もちろん、対面でのお付き合いはこれまで通り大切にしていきます。

このウェブサイトをきっかけに多くの方にお寺に足を運んでいただければ幸いです。

新たなご縁づくりの場として、どうぞよろしくお願いいたします。

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