岳陽組檀信徒総会開催

5月14日(土)、富士宮の大頂寺さまで3年ぶりに岳陽組檀信徒総会が対面で開催されました。

浄土宗ではおおよそ各県に一つの教区があり、教区の中に「組」という単位の地域ごとのグループがあります。岳陽組というのは、富士・富士宮・沼津にある13か寺の浄土宗寺院で構成されています。この檀信徒会は、檀信徒同士でおてつぎ奉仕団に参加したり、団参に行ったりと、横のつながりを持つ場となっています。

昨年度より、当山の檀家総代である井出公治さまが岳陽組檀信徒会の会長となり、法源寺としても檀信徒会が盛り上がるよう支えております。新型コロナはまだまだ予断は許されませんが、今は小康状態というところでしょうか。久しぶりに対面での総会開催となり、互いの無事を確認し合う喜ばしいひと時となりました。

さて、例年、総会の後には「法話」があるのですが、こういう時期ですのでせっかく先生をお招きしても流れてしまうかもしれない、、、。遠方から先生を呼ぶのも憚られるということで、私(法源寺副住職)に白羽の矢が立ちました。

法話では、「コロナ禍だからこそ考えたい葬送儀礼の意義」と題して、葬儀の歴史から現代の葬儀の変化の背景をご紹介し、グリーフケアとしての葬送儀礼の役割についてお話しさせてただきました。

その内容についてはまた改めてこちらでも紹介したいと思いますが、ご参加の皆様はメモを取りながら熱心に聞いてくださいました。人と人との付き合いが変わっていく中で、葬送儀礼の意味や価値を見直したいという思いもあったのだと思います。これからも様々な場で積極的に伝えていきたいと思った次第です。

合掌

観音講のお勤めをしました

当山では、1月と8月を除く毎月17日13時から観音講を行っています。ここのところコロナ禍で縮小気味でしたが、4月17日は大勢の方を迎え、久しぶりににぎやかな観音講をお勤めすることができました。

法源寺は、富士富士宮地区にまたがる横道観音霊場の第二十六番札所として千手観音菩薩を位牌堂に安置しています。そういったご縁もあり、千手観音の縁日である17日に観音講を行っております。

読経するのは『法華経』の中にある「観世音菩薩普門品第二十五」という一章で、俗に『観音経』と言われています(そのほか、般若心経や念仏もお唱えします)。読経時間は30分程度ですが、木魚をたたき、声を出すことで、実に清々しい、すっきりとした気持ちになれます。これは読経のデトックス効果とでもいうのでしょうか(笑)

※写真は加工してあります

お勤めの後は、書院に移動してお茶の時間。みなさん、いろいろな話題に花を咲かせ、楽しいひと時を過ごしています。この日は、参加した方から、富士市総合文化祭の紹介や、ウクライナ支援チャリティコンサートの案内などもあり、文化や平和についても考える機会をいただきました。

参加者からは「こうやって人と会って話をすると、いろいろな情報が入っていいね」というお声も。コロナ禍で各所でデジタル化が進み、情報伝達ではずいぶん便利な時代になりましたが、交流を深めるという点において、やはり、顔を合わせて一緒にお勤めしたり、お話ししたりすることに勝るものはありません。こうして少しずつ以前の日常が戻っていくことを願っています。

観音講はどなたでもご参加いただけますので、ぜひ一度お参りください。

南無阿弥陀仏

七年に一度の善光寺御開帳

4月11日(月)、岳陽組の団参で信州・善光寺へお参りに行ってきました。善光寺は、天台宗(大勧進)と浄土宗(大本願)の二宗によって守られている寺院で、浄土宗の七大本山の一つとしても知られています。

善光寺の御本尊は、一つの光背の前に阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の三尊が立ち並ぶ、一光三尊式阿弥陀如来と呼ばれるものですが、秘仏として安置されているため誰も見ることができません。

鎌倉時代にはこの御本尊の身代わりとして、同じ姿の前立本尊(まえだちほんぞん)が造立されましたが、この仏様も普段は一般に公開されていません。七年に一度の御開帳のときだけ前立本尊を本堂に迎え、姿を拝むことができます。

本来は昨年がその七年に一度の年にあたっていたのですが、新型コロナウイルスの感染状況から一年延期となっていました。

そして、この御開帳を目当てに岳陽組では団参を組み、法源寺からは20名の檀信徒の方が住職と一緒に参加しました。

本堂前には回向柱が立ち、白い綱が結ばれています[写真参照]。この綱はたどっていくと、堂内の前立本尊・阿弥陀如来の右手に結ばれています。すなわち、回向柱にふれることで、前立本尊にふれるのと同じ功徳をいただけるというわけです。

善光寺は古典落語の演目「お血脈」にも登場する、極楽往生を目指す人にとっての憧れの聖地です。檀信徒の皆様も、久しぶりのハレの賑わいを感じつつ、阿弥陀仏の功徳にふれることができたことでしょう。

ちなみに、今回の御開帳は例年より期間を1カ月延長し、6月29日(水)まで開催されるようです。「遠くとも一度は参れ善光寺」といわれますので、ぜひこの機会に参詣されてはいかがでしょうか。

南無阿弥陀仏

令和4年春彼岸信行会厳修

3月21日、春彼岸信行会を行いました。本堂内には20名ほどお参りいただいたほか、YouTubeでもライブ配信いたしました(当日の様子は以下のYouTubeからもご覧いただけます)。

オミクロン株のまん延、ロシア軍によるウクライナ侵攻など、昨今の社会情勢は不安を極めています。そこで、回向では、「祝聖文」という以下の偈文もお読みし、念仏の功徳を世界平和のためにふり向けました。

天下(てんげ)和順(わじゅん) 日月(にちがつ)清明(しょうみょう) 風雨以(ふううい)() 災厲不起(さいれいふき)

国富(こくぶ)民安(みんなん) 兵戈(ひょうが)無用(むゆう) 崇徳(しゅうとく)(こう)(にん) 務修(むしゅ)禮譲(らいじょう)

この偈文は、『無量寿経』の中に出てくる一節で、その意味は、「天下は泰平となり、太陽も月も清らかに輝き、時季よく雨が降り風が吹き、災害や疫病も起こらない。国は豊かに栄え、民の暮らしは安らかとなり、武力を行使することもない。(人々は)他人の善いところを尊び、互いに思いやりながら、つとめて礼儀正しく振る舞い、また譲り合う」というものです。

念仏の功徳よって、この偈文のような世が実現すれば、みな心穏やかに過ごすことのできることでしょう。まさに、さとりの境地といえますね。

さて、彼岸とは、もともと()(がん)と呼ばれるこの世界から、彼の岸である極楽浄土に生まれ変わりたいと願う信仰実践の期間です。極楽往生の先にはさとりの境地が広がっています。現実世界では、煩悩ばかりでなかなかさとりの境地には至れない私たちです。こんな不安定な世の中だからこそ、お念仏をお唱えして心穏やかに過ごしたいものですね。

南無阿弥陀仏

ジャガイモ植えました!

暑さ寒さも彼岸までといいますが、今年はお彼岸を前にずいぶん暖かくなってきました。おかげで花粉症持ちにはつらい日々です・・・

さて、法源寺農園部の活動も2年目に突入しました。先日は、就労を目指す若者たちと一緒にじゃがいもの植え付けをしました。今年は欲張って畝を増やしましたので、うまくいけば収量も増えるはずです。

農園部の作業は、身体を使う仕事が多いですが、成果が目に見えやすいものでもあります。頑張った分が一目でわかる、というのは作業する側にとっては励みになるものです。

また、大勢で協力して行う作業もあれば、一人で黙々と行う作業があったりと、個々人の向き不向きに合わせて多様なかかわり方ができることも魅力の一つではないかと思います。

もちろん収穫物でどんな料理を作ろうかといった楽しみもあります。

今回植えたのは、定番のメークインと最近人気のキタアカリという品種です。素人だらけの農園活動ですが2年目はどうなることでしょうか?

ジャガイモの成長だけでなく、農作業を通じた若者たちの成長にもご期待下さい。

お不動さん出開帳

この日限定の特別御朱印

3月5日、川崎市等覚院様から不動明王を勧請し、「お不動さん出開帳」を開催いたしました。

等覚院様は天台宗のお寺ですが、副住職の中島光信師が当山副住職と大学院時代の同級生だったご縁によって、このたび「出開帳」の運びとなりました。

聞けば等覚院様ではこの厨子に入ったお不動さんを地域の方々が順にお祀りし、近隣の方々とお参りするという、「不動尊御巡行」の信仰があるそうです。記録を紐解けば、江戸時代からこの御巡行が行われていたそうで、以前は渋谷の方までお出かけになったこともあるのだとか。このたび、初めて箱根の関所を越え、富士にやってきました。

当日は、天台宗のお経や浄土宗のお経をお唱えしたほか、不動明王のご利益、天台宗の教え、浄土宗の念仏行、阿弥陀様とお不動さんの違いなど対話形式で様々なお話をお聞きすることができました。ご参加された皆様にとっても、学びの多い一日になったと思います。

コロナ禍で遠出がはばかられる時代だからこそ、こうして来て下さる仏様がいて、また新しいご縁が結べるのはありがたいことですね。

ちなみにお不動さんは左手に羂索(けんじゃく)という縄を、右手に倶利伽羅剣(くりからけん)と呼ばれる剣を持っています。この縄で私たちの心の煩悩を引きずり出し、剣で断ち切り、さらに後背の火焔で焼き尽くしてしまうとのこと。迷いや怠けを取り除き、頑張るよう背中を押してくれる仏さまだということです。

ちなみに、阿弥陀様は頑張れない衆生も救ってくださる仏様です(笑)こうして私たちの気持ちや機根(能力)に応じて様々な仏様がいらっしゃって下さるのはありがたいことです。

南無阿弥陀仏

法源寺農園部、2年目始動!!

連日の寒さで億劫になっていましたが、ようやく重い腰をあげて畑を耕しました。昨年から始めた飛び地境内を活用した法源寺農園部もいよいよ2年目です。(昨年の活動はこちらから→農園部の発足ジャガイモの収穫)。

この日も、富士市若者相談窓口「ココ☆カラ」に通う若者たちに手伝ってもらいました。「ココ☆カラ」は、NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡が運営する団体で、ひきこもりや不登校などの生きづらさを抱える若者やそのご家族の支援を行っています。

昨年は、ジャガイモや枝豆、キュウリ、サツマイモなど、初心者にしては上出来ではないかと思えるほどの収穫を楽しめました(写真参照)。


野菜がちゃんと育つためには、根がしっかり張らなければいけません。根が張るためには、土をしっかり耕して、土を豊かにしておく必要があります。というわけで、今年もいっぱい育つよう、まずは土づくりです。

なんと、今年は、農家の檀家さんから耕運機もお借りしました!
ちょっと本格的になってきましたので、つい欲張って畑を広げてしまいました(笑)これが吉と出るか凶と出るか…。合間の草取りが大変になるかもしれませんが、今年も若者たちと一緒に野菜を育てていきたいと思います。

畑仕事はみんなで力を合わせてする作業があったり、一人で黙々とする作業があったり、参加する人の得意不得意に合わせて役割や居場所がある素敵な場です。多くの方に訪れていただきたいと思います。

涅槃図公開中(2月中のみ)

当山には代々寺宝として伝わる涅槃図(ねはんず)があります。

涅槃図とは、お釈迦様が亡くなられた時の様子を描いた絵のことで、そこには今日の風習にも通じるものが多くあります。
例えば、涅槃図でお釈迦様は頭を北に顔を西に向け横たわっていますが、そのお姿から、人が亡くなると北枕にするという風習が生まれました。

法源寺に伝わる涅槃図は、弘化4年に当時の檀信徒の寄進によって収められたもので、高さは3メートルにも及ぶでしょうか。写真のとおりずいぶん大きな掛け軸です。
弘化4年といえば、西暦1847年です。ペリーが黒船に乗って浦賀沖に現れたのが1853年ですから、それよりも6年前に作られた一幅ということになります。裏には寄進した方のお名前も残されています。幕末期の涅槃図という歴史的な価値もさることながら、こうして檀信徒の想いが込められ、代々受け継がれてきたことこそが、お寺にとっては大きな宝だと感じています。

現在、涅槃図は法源寺本堂にて公開中です(2月28日まで)。2月15日(火)13時には、お釈迦様のご遺徳をしのぶ涅槃会も行われます。住職から絵解き(涅槃図の解説)もあると思いますので、ぜひお寺に足を運び、この機会に大きな涅槃図をご覧ください。

南無阿弥陀仏

お不動さんがやって来る!

みなさんは「出開帳」(でがいちょう)という言葉を耳にしたことはありますか?

出開帳とは、仏教寺院で厨子等に収められている仏像を他の土地に出張し、拝観できるようお祀りすることで、江戸時代には、成田・新勝寺の不動明王、嵯峨・清凉寺の釈迦如来、信州・善光寺の阿弥陀如来などが江戸で人気を博したといわれています。

さて、このたびご縁をいただき、関東三十六不動霊場第六番札所である神奈川県川崎市の天台宗・等覚院様から、お不動さん(不動明王)をお招きすることとなりました。

等覚院様では、毎年四月、五月に、厨子に入った不動明王像を、地域住民で持ちまわる風習があります。お宿(会場)と世話人(受け入れ人)を記した等覚院所蔵の『不動明王御巡行記』には、江戸時代の巡行の記録も残っています。世話人としてお不動さんを受けた住民は、自宅に安置し、その間地域の人々が、宿となった方の家へお参りに来ることで、多くの方が仏縁を結ぶことができるというものです。
過去の記録には、渋谷の方までお出かけされたことが記されていますが、今回、お不動さんは遠く名古屋まで巡行されるとのこと。なんと、箱根の関所を越えるのは初めてのようです。

その巡行にあたって法源寺にもお立ち寄りいただき、檀信徒や地域の皆様にぜひご覧いただこうと「お不動さん出開帳」というイベントを企画いたしました。

等覚院様は天台宗のご寺院です。法然上人は浄土宗を開かれる前に、比叡山で天台教学を学びました。実は、鎌倉仏教と呼ばれる宗派の多くの祖師達は比叡山で学んでいます。まさに日本仏教の母なる山といってよいでしょう。天台宗の教えについてもお話が伺えるかもしれません。なお、当日はこの日だけの特別御朱印(二枚一組)も用意いたしますので、ぜひご縁を結びに足をお運びください。

イベント詳細は以下の通りです(新型コロナの感染状況によって中止となることがあります)。

お不動さん出開帳

令和4年3月5日(土)14:00-16:00

参加無料(どなたでもご自由にお参りください)

< タイムスケジュール >

13:30 受付        
14:00 ご挨拶・天台宗のお経
14:20 不動明王の解説   
15:00 自由参拝・御朱印頒布
15:45 浄土宗のお経・ご挨拶
16:00 閉会    
    

※御朱印を希望される方は千円のご志納をお願いいたします。

お不動さんは、除災招福・病気平癒・疫病退散・身体健全といったご利益があります。大難を小難に、小難を無難に、みなさまの厄をきっとお祓いくださることでしょう。コロナ禍で遠出することが難しい中、仏様の方からお越しくださいますので、ぜひともこの機会にご縁を結んでいただけましたら幸いです。

人の世は…

一昨年から私たちの生活は新型コロナウイルスに翻弄されています。
ワクチンが接種されるようになって、いくぶん収束するかと思ったら、今度はオミクロン株。重症化率は低いものの感染力は強く、あっという間に市井に広がってしまいました。
静岡県内でもあれよあれよという間に1000人を超える感染者数を記録しています。

あぁ、もう少しで「日常」が戻ったのに・・・

友人と集まって酒を酌み交わすことができたのに・・・

家族と一緒に遠くへ出かけることができたのに・・・

期待が裏切られたときほど人は落胆するものです。
でも、あせらず、あわてず、あきらめずに日々を送りましょう。
「こうあって欲しい」「こうありたい」という思いは、時として執着(しゅうじゃく)につながります。お釈迦様はこの執着こそが苦の原因なんだとおっしゃいます。

思った通りに行かないのが人の世です。
いずれ来る春に備えて、今はゆっくり足元を固める時期なのかもしれません。

「あわてない、あわてない、ひとやすみ、ひとやすみ」

一休さんも言っていますよ(笑)

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