
仏さまは、お念仏をとなえる私たちを見守り、導き、
苦しみのない世界へお救いくださります。
As we practice Nenbutsu, we are protected, guided, and saved by Amida Buddha.
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浄土宗月訓カレンダーの7月の言葉。
字は大本山増上寺第89世法主小澤憲珠台下の揮ごうです。
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信号待ちで木陰を探す季節がやってきました。
この暑さで体調を崩されていませんでしょうか。
先日、所用で浅草寺さまにうかがう機会がございました。浅草寺の境内は、それはもう大変な賑わいで、大勢の観光客、特に外国からのお客様でにぎわっていました。
浅草寺と言えば雷門、五重塔、そして本堂が有名ですが、その境内には多くのお堂があり、さまざまなお地蔵さまが祀られていることは意外と知られていません。これまで多くの人が願いを込め造立してきたのですが、その中には子供を抱えた母親姿のお地蔵さんがあります。母子地蔵尊と呼ばれるこのお地蔵さまは、満州からの引き揚げ途中に命を落とした人々を供養するために漫画家のちばてつやさんがデザインしたものとして知られています。
こうした仏さまが境内のそこかしこにあり、訪れる人を見守っているのですが、写真映えスポットを探す観光客にはその存在はあまり知られていません。
私たちも実は同じようなものです。日々の生活に追われあまり意識が向かないこともありますが、仏さまは常に私たちを見守っていてくださいます。その仏さまは、阿弥陀様であり、極楽浄土にいるご先祖様です。
私たちが悩んでいる時、困っている時、つらい時、寂しい時、悲しい時、本当はそばにいて見守っていて下さるのです。そして、あるべき方向に導いてくださいます。
自分一人で生きているつもりになっているうちはなかなか気づけません。しかし、見守られていること、導かれていることに気づけたとき、私たちは「私はひとりじゃない」と安心感を覚えるのではないでしょうか。
それがまさに「救われる」ということにほかなりません。
守られて 導かれて 救われて

さて、浅草寺本堂内陣の柱には、向かって右に「佛身円満無背相」、左に「十方来人皆対面」という偈文が掲げられています。これは、善導大師の『般舟讃』に示された句で、「仏様の体は円満にして背中の姿(背を向けること)はなく、あらゆる人に対して正面に向き合ってくださる」という意味です。
浅草寺さまのご本尊は観音様ですが、観音菩薩は阿弥陀如来の慈悲を体現する化身として知られています。したがって、『般舟讃』に示された偈文は、阿弥陀様が私たちにしっかりと向き合ってくださっている、見守っていてくださっているということを広く示しています。
あとは私たちが、その見守りと導きに気づけるかどうか…
安らぎという救いは、気づくことから始まるのかもしれません。
南無阿弥陀仏